【BL】腐男子な俺の恋フラグ
「確かにあの時は早朝だったが、朝練の奴とか何人かは普通に登校している奴は居た。だが、地味で冴えない男が倒れていても皆素通り。知らんぷりだ。…俺は、あぁ、やっぱりか…て思っていたんだ」
どうせ、皆が関わろうとするのは自分に利益のある人間だけなんだと。それか容姿で判断するだけなのだと。
それが分かっていたから、文化祭のあの日まで自分の容姿を隠していた。生徒会の予算アップをする目的がなかったら俺はずっとあのまま3年間を過ごしていたに違いない。蛍のアニキに頼まれたから仕方なく言う事を聞いたまでだ。自分の容姿がずば抜けている自覚はある。ない奴なんか目の前のコイツと園くらいだ。
中学からの付き合いの咲達にはかなり釘を刺し(勿論アニキにも。しかしそれで生徒会長を押し付けられた)、俺は文化祭までの約1年間半を静かに過ごしていた。案の定、テストで1位をとってもひそひそと話をされるだけで俺に話しかけてくる奴は居なかった。
別に俺は真の友情とかそんなのが欲しかったわけじゃない。
ただ、外見でしか判断しようとしない人間に呆れていたんだ。
それなのに、
「槙だけはそんなの気にもせず、容姿も関係なく、自分の好きな弁当まで分けてくれた。おかしもくれた。そして何より誰とでも接するみたいに話しかけてくれた」
その事が、俺にとってどれ程嬉しかったか。