【BL】腐男子な俺の恋フラグ
しかし、それを知らない槙は俺に何で何でと聞いてくる。
答えるのも面倒だと判断した俺は
「うるさい」
「律ひどい!教えてくれても良いじゃんか!」
「しつこい」
「……会長は会長で…それに引き換え俺は……あ」
「…今度は何だ?」
いきなり黙り込んで顔を赤くしている槙に問いかける。
今度は妄想しているわけじゃなさそうだ。
だったら何だ?
鬱陶しくて途中から槙の発言聞いてなかった。
俺が尋ねると槙は突然俺が思いもしなかった事を口にした。
「…律って俺だけは初めから名前で呼んでくれたよな?」
「!」
あぁ、そうか。
槙だけは自己紹介で名前を呼ぶように言われても何も抵抗がなかった。
呼ぶ事にいつもならあるはずの嫌悪も不快感も無かった。
俺はもしかしたら、あの時――初めて会った時――から、槙に対してはこういう感情を抱く事が本能で分かっていたのかもしれない。
いつ、好きになったかなんて明確な回答は出せない。
それはいつの間にかそうだと無意識のうちに自覚したからだ。
だが、好きになるきっかけは、頭で正直に予感していた。
「槙は特別だからな」
「!!」
―――あぁ、コイツと居るだけで毎日はこんなにも退屈しない。
うるさくても、頭が花畑でも、何故か憎めない。
それはこの感情が俺を大きく変えているのだと実感した。