赤い月 終

だが大吾と祥子はまだ、うさぎの背後に立つ景時に疑惑の眼差しを向けている。


「ほんとにィ?」


「完全に、捨てられた男の負のオーラ出てたケドなぁ…」


いやいや。
捨てられてはねぇよ?

ソレ以前に、拾ってもらえてねぇ気もするケドネ?!


「…そうなのか?」


振り返ったうさぎが、髪を揺らして景時を見上げた。


「戻ると言っておったのに…」


少し寄せられた眉。
紅い唇は、不服そうに尖っている。

あー…

可愛い。
ほんと可愛い。

その唇、今すぐ食いたい。

てか、全体的に食いたい。


「だって…
寂しかったンだもん。」


景時は、今にも涎を垂らしそうなだらしない顔で笑った。

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