赤い月 終
景時は俯き、長めの前髪で顔を隠した。
「父さん… ごめんね。」
「景時… スマナイ。」
自分の声に、懐かしい父の声が被さる。
「…なにが?」
「…ナニガ?」
…
ナニ?
このシンクロ率。
親子の会話って、こーゆーモンなの?
こんなにカブンの?
笑いを噛み殺しながら巨大な背中を見上げると、その肩が細かく震えているのがわかる。
(父さんも笑ってンじゃん。)
どーせなら、コッチ見てくんねーカナ。
俺を見て笑ってくんねーカナ…
景時が口を開こうとしたのと同じタイミングで、またゼンキが話し出す。
「本当ニ、スマナイ。
俺ヲ… 恨ンデイルカ?」
だがその内容は想定外。
景時は軽く眉根を寄せた。
「…
恨む? なんで?」