赤い月 終

景時は俯き、長めの前髪で顔を隠した。


「父さん… ごめんね。」


「景時… スマナイ。」


自分の声に、懐かしい父の声が被さる。


「…なにが?」


「…ナニガ?」




ナニ?
このシンクロ率。

親子の会話って、こーゆーモンなの?
こんなにカブンの?

笑いを噛み殺しながら巨大な背中を見上げると、その肩が細かく震えているのがわかる。


(父さんも笑ってンじゃん。)


どーせなら、コッチ見てくんねーカナ。

俺を見て笑ってくんねーカナ…

景時が口を開こうとしたのと同じタイミングで、またゼンキが話し出す。


「本当ニ、スマナイ。
俺ヲ… 恨ンデイルカ?」


だがその内容は想定外。

景時は軽く眉根を寄せた。


「…
恨む? なんで?」

< 16 / 279 >

この作品をシェア

pagetop