赤い月 終
「千景(チカゲ)ヲ 殺シタノハ、俺ダ。
オマエニ 鬼ノ血ヲ流シタノハ、俺ダ。」
「…
ソレ、逆じゃね?」
未だにコチラに向けられたままの広い背中に、景時は低く問いかける。
「父さんこそ…
俺を恨んでねーの?
俺がいなきゃ、父さんは母さんを喰わずにすんだ。
俺がいなきゃ、今でも二人仲良く生き
っっ?! 痛っ?!」
いきなりデカい手で頭をシバかれた。
いやいや、加減しよーよ。
アンタ、オニだよ?
首、クキって鳴ったよ?
涙目になった景時が両手で頭を抱えながら顔を上げると、厳しく優しい青い瞳が彼を見下ろしていた。
「我ガ子ヲ 恨ム親ガ、ドコニイル!」
(ぅわ…
俺、叱られてる‥‥‥)
てか、やっとコッチ見た…
景時は頭の痛みも忘れて、目を瞬かせた。
俺を見る、懐かしい眼差し。
さっきとは別の意味で、胸が熱くなる。
嬉しくなる。
叱られていることすら。