赤い月 終
ガラスの嵌まっていない窓から廃ビルに入ってきたうさぎは、肩を落として項垂れる景時を目を細めて睨みつけた。
「で?
これはなんのつもりじゃ?」
(なんのつもりって…)
景時が、チラリと黒曜に視線を送る。
彼もまた決まり悪そうに俯いて、頭を掻いていた。
まるで、悪戯が見つかった二人の悪ガキ。
でも、叱られてゴメンナサイして、家に強制連行されている場合ではない。
景時は顔を上げ、うさぎの厳しい眼差しを受け止めた。
「うさぎこそ…
明日…って、もう今日か。
ナニするつもりなの?」
「…
そなたに術を」
「なんの術?
…
『闇蝕』じゃねーンだろ?」
うさぎは、景時から目を逸らさない。
景時も、うさぎから目を逸らさない。
「加護に…
なる気じゃねーの?」