赤い月 終

心残りがあるとすれば、まさにソレ。

うさぎは生きてくれた。
笑ってくれた。

でも、結局泣いてはくれなかった。

俺が死んだら、うさぎは泣いてくれるカナ。

なら、本望じゃん。
ノルマ達成じゃん。

視界が狭くなっていく。
寄り添ううさぎと黒曜だけが、銀の光に包まれて浮かび上がる。

泣いてくれるとイイな。



黒曜の胸で…?

鼓動が、今までにない音を立てる。
心臓が変形したように。

なんだろう、イヤな気分だ。

さっきまで、あんなに穏やかだったのに。

これでいいンだろ?
うさぎが好きだから。

いいワケねェよ。
うさぎが好きだから。

笑っていてほしい。
たまには涙を見せてほしい。

俺がいなくても。

笑っていてほしい。
たまには涙を見せてほしい。

俺の傍で…

勝手なコト言うなよ。
てか、無理なンだよ。
どう転んでも、俺は死ぬンだ。

勝手とか無理とか死ぬとか、わかってンだよ。わかってても、自分でもどーにもならないくらい、うさぎが好きなンだ。

行かないで一緒にいて俺の傍にうさぎうさぎうさギ…

だーかーらぁ、ム リ デ ス ヨ

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