赤い月 終
「強引に加護になるつもりか?
そんなコトしたって、景時が苦しむだけだ。
わかってンだろ?」
低く囁いた黒曜はうさぎを器用に回転させ、益々強く抱きしめた。
暴れる彼女を、優しく、だが確実に抑えつけ、宥めるように言葉を紡ぐ。
「アイツが決めたことだ。
これがアイツの望みなんだ。」
徐々にうさぎの身体から力が抜けていく。
「…望み?
…景時の?」
「そうだ。
その思いを受け取ってやれ。
…
景時のまま、逝かせてやるんだ。」
「…」
遂にうさぎは動かなくなった。
黒曜の胸に顔を埋めたまま。
黒曜に大人しく抱かれたまま…
(うさぎ、泣いてンのカナ…)
二人をぼんやりと眺めながら、景時は思っていた。