赤い月 終

よりによって顔とか…

いやいや、そうじゃねェ。

闇が景時を飲み込み、形取り始めた。
もう止められはしない。

もうすぐ周辺のオニをも呼び寄せ、この地を地獄に堕とすだろう。

今まで景時が守ってきたモノを、全て壊すだろう。

だから…


「アイツが誰かを傷つける前に、俺がアイツを殺してやる!!
紅玉、おまえはしばらく眠ってろ!!」


咆哮と共に、黒曜は一気に鬼気を放出した。

地に平伏すほど重く、刺すように鋭い鬼気。

その圧倒的な重力の中、唇に滴った自らの血をペロリと舐めたうさぎは、笑った。


「真っ平御免じゃ。」


艶然と。

優美に。

典雅に。

さっきまで弱々しく揺れていたルビーを、不吉なまでに輝かせて。

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