“またね。”
この街は田舎だ。
中高生が遊ぶ場所といえば、カラオケにボーリング、それかゲームセンターくらいしかない。
「じゃあ、とりあえずカラオケ?」
「だな!」
大輔がペダルを踏む。
腰に手を回して、しっかりと掴まった。
カラオケに着いても、歌わずに話してばかり。
隣に座りながら。
「てかお前、中坊のくせに学校サボんなよ。煙草も吸うし」
煙草はわかるとして、学校をサボるのに中坊も何もあるのか。
「中坊って言うな。てか大輔だってまだ高校生じゃん。高2ってことは、17でしょ?」
偉そうに注意しておいて、堂々とセブンスターの香りを漂わせる未成年に言い返す。
「まだ誕生日きてないから、16」
早生まれなのかな。
「菜摘15だし1こしか変わんないじゃん。誕生日いつ?」
「まあそうか。俺2月だよ」
やっぱり早生まれなんだ。
ひとつでも大輔のことを知れたことが嬉しい。
大輔は少し笑って、煙草を指から口に移す。
セブンスターの甘い香りに
どこか安心感を覚えた。