指先で紡ぐ月影歌




元治元(一八六四)年六月五日夜四つ。


長州藩の会合が行われるという情報を手に入れ、京の町を片っ端から捜索した日。


俺たちは土方さんの隊、源さんの隊、近藤さんの隊の三手に別れていた。


とにかく元気な奴らを総動員。

全員で京の町を端から端まで歩く覚悟だった。


そんななか俺がいる近藤さんの隊が差し掛かったのは、長州藩御用達の店があるところ。


事前に長州間者の大元締めである桝屋喜右衛門こと古高俊太郎を捕まえていたこともあり、ここはないだろうと踏んでいた。

同志が捕まったその日に馴染みの場所を使うことはないだろう、と。


だけど踏み込んでみればこれが当たりで。




< 123 / 239 >

この作品をシェア

pagetop