10年後も…〜song for you〜
タクシーに乗り込み、ホテルへ向かった。
「健も一緒のホテルなの?」
「うん。色々調べたから」
「もう!いつのまにそんなことやってんのよ」
そう言いながらも真琴は嬉しそうだった
タクシーは海辺を走った。
東京では見ることの出来ないコバルトブルーの海、白い砂浜。
「綺麗…」
海を見ながら呟いた真琴は幸せそうに微笑んでいた。
数キロ走ったところで、ホテルに到着した。
真琴は会社から受け取ったホテル予約の明細書を取り出し、ロビーにチェックインをしに向かった。
「えっと、予約していた竹崎真琴でー」
「すみません、ツインで予約している、廣川です」
「え!?」
真琴の言葉を遮ってホテルスタッフに声を掛けると、真琴はびっくりした顔をした。
「では、こちらにお名前をお願いします」
「はい」
戸惑っている真琴を尻目にチェックインを済ませ、部屋のカードキーを受け取った。
「何ぼーっとしてんだよ。行くぞ」
真琴はハッとして、俺の後ろからついて来た。