10年後も…〜song for you〜

エレベーターに乗り混むと、真琴が俺の背中を叩いた。

「なんだよ。これもサプライズだぜ?」

「もう!健のバカ」

そう言いながら、やっぱり真琴は嬉しそうだった。







部屋に着き、ドアを開くと、窓の向こうは沖縄の海が広がっていた。


「すごーい!綺麗!」

真琴のテンションが上がる。




ホテルは仕事ということもあって、ビジネスホテルではあるが、さすが沖縄らしいリゾート風の部屋だった。


しかし、自分で予約したし分かってはいたが、二つ並んでいるベッドを見ると妙にソワソワしてしまう。


そんな俺の様子に気付いたのか、真琴も少しソワソワし始めた。

「あれだね、なんていうか、なんか…」

真琴がベッドに腰掛けた。


そんな真琴の隣に座ると、妙な緊張感にさいなまれ、妙な空気になって、2人とも黙り込んだ。


ーピピピッ!

すると、真琴の携帯電話が鳴って我にかえった。

「あ、はい。今着きました。はい。今から、向かいます」

どうやら、会社の人らしい。


真琴は電話を切ると、

「じゃあ、あたし行かないと…健はどうする?」

「もう少し休んどくよ。移動で少し疲れたから」

「分かった。ゆっくり休んでて。なんかあったら、連絡してね」

「おう。さんきゅ」



真琴は部屋を出て、会社へ向かった。


一人になった俺は、ベッドに倒れこんだ。


少し、身体に負担かけちまったかな?


鉛の様に重くなった身体を休ませることにした。




心はこんなに弾んでいても、身体がゆうことをきかない。



心と身体の大きな差が胸を締め付けていた。







< 452 / 508 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop