10年後も…〜song for you〜
沖縄は辛い思い出しか残っていない。
もう二度と行きたくねぇよ!
「祐樹…お前何言ってんだよ!ふざけんなよ!」
感情的になり、俺は思わず祐樹の胸ぐらを掴んだ。
「沖縄に行けって言ってんだよ!」
その言葉にカッとなり、俺は祐樹を殴った。
祐樹は倒れて、右頬を抑えた。
「沖縄に行けるわけねぇだろ!!あいつが…あいつが…あいつがいなくなった沖縄なんて!!」
祐樹はゆっくりと立ち上がった。
そして、ゆっくりと話し始めた。
「親友として言わせてもらう。お前の辛い気持ちはお前にしかわかんないと思う。でもな、俺だってつれぇんだよ。真琴は俺にとっても大事な友人だった。ガキの頃から知った顔だしよ。けど、いつまでも引きずったって仕方なぇだろ?なぁ、健逃げんなよ!あいつの死と向き合っていくしかねぇんだよ!」
祐樹は泣いていた。俺は祐樹が泣いてる姿を見るのは初めてだった。
「何がやり直すだよ!今のお前にはぜってぇ無理なんだよ!」
その姿を見て、重い口を開いた。
「分かってんだよ…頭では。あいつがもう死んでどこにもいねぇこと…。ただ、あいつと過ごしたこの街に居るのが辛くて辛くして仕方なぇんだよ。あいつとの思い出がありすぎるこの街は俺にとっては、生きる地獄なんだ…」
俺は気が付けばこの時、事故以来半年経って初めて涙を流していた。