桃色の初恋〈上〉
「何変なこと言ってんだ!付き合ってもいな
いくせに、五十嵐、五十嵐って!」
「付き合ってますよ。柿本は生徒の事を
全然知らないもんな。」
「何!?」
「ともかく、五十嵐を辞めさせたら、俺も
辞めますから。」
付き合ってるってどういうこと?
「失礼します。」
愁は私の手を引いて職員室から出た。
『嘘ついたでしょ?』
「ごめんな。でも何か言ってやりたくて」
すぐに分かったけど、付き合ってるって言っ
たのは嘘。だったんだけど____ね。
『ねぇ、夢のことなんだけど・・・』
「圭太の話しか?」
『よくわかったね!』
「俺にだってわかるよ、夢ちゃんが圭太
の事、好きなことぐらい。」
『圭太君に彼女いること、夢知らないの。』
「マジ!?俺、知ってると思ってた。」
『このままじゃ、圭太君の彼女さんにいじめら
れる』
「かもな。」