桃色の初恋〈上〉


「何変なこと言ってんだ!付き合ってもいな
 いくせに、五十嵐、五十嵐って!」

「付き合ってますよ。柿本は生徒の事を
 全然知らないもんな。」

「何!?」

「ともかく、五十嵐を辞めさせたら、俺も
 辞めますから。」

付き合ってるってどういうこと?


「失礼します。」

愁は私の手を引いて職員室から出た。


『嘘ついたでしょ?』

「ごめんな。でも何か言ってやりたくて」


すぐに分かったけど、付き合ってるって言っ
たのは嘘。だったんだけど____ね。


『ねぇ、夢のことなんだけど・・・』

「圭太の話しか?」

『よくわかったね!』

「俺にだってわかるよ、夢ちゃんが圭太
 の事、好きなことぐらい。」

『圭太君に彼女いること、夢知らないの。』

「マジ!?俺、知ってると思ってた。」

『このままじゃ、圭太君の彼女さんにいじめら
 れる』

「かもな。」




< 46 / 216 >

この作品をシェア

pagetop