桃色の初恋〈上〉
本当、不思議。何で傘貸したんだろう?
『ねぇ、いつになったら離してくれる?』
「五十嵐がキスしてくれるまで。」
『え!?』
「ヤダ?」
『嫌じゃないけど・・・』
私がキスしたことあるのは・・・あの時だ
け。しかも、彼氏でもなんでもない。
その日から、怖くなってそんなことしたこ
ともなかった。
「どうしたの?」
『何でもない。』
どうしよう・・・嫌だ・・・目の前にいるのは
あいつじゃなくて、愁だって分かってるけど
・・・
私は勇気を出して、愁の頬にキスをした。
愁は私を約束通り離した。
「俺がしていい?頬じゃ嫌だ。」
愁は私の唇にキスをした。