桃色の初恋〈上〉

でも、私は天気予報を見てたから、折り
たたみ傘を持っていった。

入学式が終わった後、私はずっと担任と
話しをしていたので、皆より帰るのが遅
かった。

昇降口に行ったら、1人の男子生徒がいた。

何を考えたんだか、私は

『あの・・・傘使ってください。』
って言った。男子生徒は、

「君はいいの?」
と言った。私は、

『親が迎えに来るので・・・』
と嘘をつき、傘を貸した。



そう、あの時の男子生徒、愁だったん
だ。


「お前、あの時、雨止むまで待ってただろ?」

『何で知ってんの!?』

「馬鹿だな~。俺、心配になって1回戻ったら
 まだお前昇降口に立ってたし。」

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