【単連】MEETs JUNCTION(BL含)

 滑稽な光景だと思う。
 似合わないが明らかにホストだとわかる男が、これと言って飾り気のない女と無言で繁華街を歩いている。

 ホストの彼氏と喧嘩したカップルにでも見えるだろうか。

 そう考えて思わず笑ってしまって、シュウは首を傾けた。

 変な女だと思っているだろう。

 そう、今日の私は酔っている。


「付き合うって言っても、アンタの身体が目的じゃないの。静かに、誰かと呑みたかったの」
「俺、ホストですよ」


 私の目的と自分の立場のギャップにシュウが笑う。

 これは、合格だ。


「アンタが、良かったの」


 カウンターに肘をついて、掌に顎を乗せる。


「同じ匂いがするから」
「………。」
「性格わぁるそうだもん」


 馬鹿にするように、抑揚をつけて。

 シュウは息を吐くと、諦めたように目付きを変えた。


「さっきより随分と機嫌いいね」
「ふふ、アンタみたいなのが女に尻尾振ってんのが、なんか今頃笑えてきて。ふふふ」


 ブス、と不貞腐れながら煙草に火を点けるシュウ。
 落ち着かせるように吸ってから、ゆっくりと煙を吐き出した。


「怒んないでよ」
「怒ってない」
「あ、そ」


 マスターがジントニックのグラスをシュウの前に、マティーニのグラスを私の前に静かに置くと、軽く頭を下げて席を外すように離れて行った。


「振られたんだ?」
「まぁ、そんなとこ」


 素直に答える私に、シュウが皮肉っぽく笑う。

 やっぱりそうだ。
 私たちはとても似ている。




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