恋の駆け引き
あまりに会話が弾まないので、私は


「何歳ですか?」


と聞いた。



そうしたら


「いくつに見える?」


と、まるで女が合コンのときに、男に質問されて答えるような、返事が返ってきた。



そんな答えに、私は『さっさと答えろ』と心の中で思いながら


「川上さんは、三十四か五歳って言ってましたけど・・・」


と言うと、


「もう少し上」


と早く歳を言えばいいのに、私が年齢を当てるまで


「もう少し上」


と遠藤は言い続けた。



結局、遠藤は三十七歳だった。



それを知って、ただでさえ冷めている気持ちが、よりいっそう冷めていった。



私が二十五歳で、十歳くらいまで離れているのは、まぁ、我慢できるが、ひとまわり違うとさすがに抵抗を感じる。



遠藤は、見た目は、若く見えるので、三十七歳には見えないが、でも、もうすぐ四十歳の人と付き合うなんて、絶対私には、考えられない。



「やっぱり、歳離れていると嫌だ?」


と遠藤が聞いてきた。



素直に言えるわけがないので


「別に、年齢は気にしないです」


と答えたが、この日、帰りたいといっそう思う気持ちを強くした、会話の一つになった。



当たり前だが、自分の年齢を聞いてきた私に対し、遠藤も私の年齢を聞いてきた。



私の年齢を聞いても、会話が盛り上がるわけでもなく、遠藤は私の年齢を聞いて、納得していただけだった。



どんな気持ちだったかは私にはわからない。
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