叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
いっきに屋上まで駆け上がった優花ちゃんはそのままフェンスをまた越してしまった。
冷たい風が吹き抜ける。
皮膚を刺すような冷たさ。
「優花ちゃん!!」
「まって!優花!!」
少し遅れて優夜ちゃんが息を切らしてやって来た。
緊張感が走る空気感。
息をするのも、神経を使うよう。
吐く息は、白くて、澄んだ空気に、身体が硬直する。
「私なんて死ねばいいよね!消えてあげるから!」
「違うの!優花!待って!やめて……っ」
優夜ちゃんの叫びに、優花ちゃんの反応はない。
みんなが息をのむ。
そして優花ちゃんがこちらを悲しい瞳で見ると微笑んで。
「…………」
え……?なに?
優花ちゃんはなにかを呟いて。
ーーそのまま飛び降りた。
その一瞬はまるで、世界が静止したように無音になった。
優夜ちゃんの叫び声が、平凡だった昼休みの学校に響き渡る。
うそ……だろ。