叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。



その日は学校中が大パニックになり、みんなが早めの下校を余儀無くされた。


先生たちに事情を聞かれたけど、なにも答えることができなかった。


先生たちの質問が頭に入って来なかったから……。


ずっと放心状態で、目の前で起きた出来事に、ただただ戸惑って、ショックを隠せなかった。


なんでだよ……っ。


なんで止められなかったんだよ、俺。


もう少し早く手を伸ばしていれば、優花ちゃんの手を掴むことができていたのに。


こんなことになるなら、強引にでも彼女のそばにいたらよかった。


……すべてにおいて、後悔しかなかった。


そばにいられなかったこと。
助けられなかったこと。


そして次の日、学校へ行くと全校生徒が体育館に集められた。


登校して来た優夜ちゃんが一言も喋らなかった。


ずっと落ち込んでて、誰がなにを言っても反応しなかった。


< 120 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop