叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。


子供たちの騒ぐ声やすぐそこを走る車の音がうるさい。
隣にいる彼はいつになく真面目な表情。
こっちまでなぜだかあらたまってしまう。



「俺ほんと爆発しそうにずっと苦しかった。この前冬樹に話そうと思ったのは優夜ちゃんのことももちろんあるけど、俺自身がどこかで冬樹に聞いて欲しかったのかもな……って」



夏の太陽が俺たちの肌を焼く。
風は相も変わらず生ぬるく、上を見上げれば真っ白な雲。
……入道雲って言うんだっけ?


これが夏の景色。


俺たちの夏休みの、景色。



「俺は高校生になって友達はつくらないって決めてたんだ。話すとしても深くはならない。一定の距離を置こうって。………だけど冬樹にはなんか自分から絡んで行ってた。惹きつけられてた」


「お前、ほんとに俺のこと好きだな」


「そうだな〜。俺今になって思うんだ。優夜ちゃんとした誓いは間違いだったんだって。優夜ちゃんの声……あの時俺が全力で自分を責めちゃダメだって言えることができていたら、変わってたかもしれない……」



「そんな……仁は悪くねぇーよ」


「悪くないなんて、そんなこと思えない。だってその通りだから。だから冬樹にこんな事言うのは間違ってると思うんだけど、言わせてくれ」


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