叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
困っている俺を爆笑しながら見る仁を睨む。
……アイツ絶対おもしろがってやがる。
その時ふと、視界の端に相沢が誰かとぶつかって転んだ姿が目に入った。
……あっ。
声も音も、ザワザワした教室にもみ消されて誰も気づいていない。声は、もともと出してないみたいだけど。
ーーガタタッ……。
席を立ち「ちょっとゴメン」と、みんなの間をすり抜けて相沢のもとへ歩み寄る。
するとうるさかった周りが会話をやめて、静かになった。
「大丈夫か?相沢」
差し出した手を見て彼女は一瞬だけ固まると、バツが悪そうに俺の手を掴まずに立ち上がった。