叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
仁の瞳が揺れる。
俺は二人を見守ることにした。
「あの時いじめられてた子に、仁くんと離れたら許してあげるって言われた。でも私は仁くんが居ればそれでいいって思ってた……そう、思ってた……はずなのに……っ」
優花ちゃんの目から涙がとめどなく溢れかえっている。
「いじめが怖くて仁くんを手放した……っ」
……そういうことだったのか。
「優花ちゃん……」
「ほんとはっ……仁くんと毎日話したかったし……毎日ずっと一緒に居たかったんだよ……離れたくなんか、なかった……っ」
途切れることなく流れる涙を仁が指先で拭っていく。
その行動にはっと顔をあげた優花ちゃんに、優しく穏やかな笑顔を見せる仁。
「あの時、ひどい言葉で傷つけてしまって、ごめんなさい……っ」
「優花ちゃん泣かないで?俺はなんとも思ってない。大丈夫だから」
「仁くん……っ」
「ごめんな。二年前の優香ちゃんの嘘に俺が気づいていればよかったんだよな。ムリにでも離れずに居たらよかったってそう思うよ」
仁の言葉に優花ちゃんが泣きながら「ありがとう」と繰り返した。
仁……。