叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。



「あの時、友達がいない一人だった私に話かけてくれてありがとう。たくさん笑わせてくれてありがとう。……ずっとこれが言いたかった……」



彼女の口から溢れて来るたくさんのありがとうの言葉に、俺が泣きそうになった。


……やっと。


やっと、仁の想いが報われた。


あの時の想いが実ったんだ。


やっと、止まっていた仁の心の中の時間が動き出した。



「私、あの時死ななくてよかったって心から思ってる。会いたかった仁くんとまた会えたから」


「……本当にごめん。もっと早く話すべきだったのに逃げてた」



お互いがお互いに、様子を伺っていたように俺には見えていたよ。


……怖かったんだろうな。


ふたりとも。


会いたいと思ってた相手を目の前にして、言葉にならなかったんだろう。


こうして本音で話し合えて、本当によかった。


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