叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
現実を受け止めるように。
「安心していいよ。たぶん一時的な記憶障害だから。個人差はあるけど徐々に戻って来るはずだよ」
先生の言葉に胸がドキ!とした。
一時的?
……いつか戻る記憶なのか?
相沢のためとはいえ、戻らないで欲しいと思う俺はダメかな……。
だけど相沢を傷つけたくないんだ。
「じゃあこれで僕は失礼するよ。あ、お母さん、退院はリハビリが終わってからだから……順調に行けば一ヶ月ぐらいで退院になると思います」
「ありがとうございます」
相沢のお母さんが頭を深々と下げて、先生は病室から出て行った。
相沢はというと手渡された生徒手帳をまだじっと見つめていた。
……相沢は今どんな気持ちなんだろう?
自分が記憶喪失だと聞かされて。
やっぱり、不安に感じるよな。
「ねえ」
その言葉に下げていた視線を上げた。
お、俺……?