叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
ぶつかる二人の目線。
すこしだけ雰囲気を変えた相沢が俺を見ている。
「名前教えてよ」
「……俺の名前?」
「うん」
真っ直ぐ、今まで見たことのない強い瞳のチカラ。
今まではずっと下を向いていて、自信のない瞳をしていたから。
……優花ちゃんを傷つけた傷が今の相沢にはないからかな。
「……冬樹だよ。水田、冬樹」
「……ふゆき……」
ーーふゆき。
聞きなれない相沢の声がくすぐったい。
ずっと聞きたかった相沢の声が聞けた。
……初めて呼ばれたその名前に感動した。
出会ったあの日に、口パクで呼ばれた名前も素敵な響きになった名前がまた美しく響いた気がした。
なんだかすごく嬉しい気持ちになった。
「私、いろんなこと忘れてるんだね……」