叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。



「それから私とお父さん、二年前みたいにお母さんがいる家に戻ったんだ」


「そうなんだ!よかったね!」


「うん。優夜が退院した時に別居してたら怪しまれるでしょ?それに家族をやり直すいいキッカケかなって」



少しだけ、複雑そうな顔をして話す彼女。


優花ちゃんなりに相沢のことを大切に思っていることが最近よく伝わって来る。


……優花ちゃんもまた前に進もうとしているんだ。



「私はこれから仁くんと用事があるから帰るけど、冬樹くんは?」


「俺はまだここにいる」


「そっか、じゃあまた明日学校でね!」



腰を上げて優花ちゃんが屋上から出て行く。


俺はそのまましばらく上を見てから、屋上を後にして相沢の病室に向かった。


……強くなりたい。

もう二度と相沢を遠くに行かせたくない。


相沢が飛び降りた瞬間、もう二度と彼女に会えないかもしれないって思ったら、目に見えてる世界がいっきにモノクロになった。


……色を、失くしたんだ。


あんな想いもうしたくないし、

相沢にも死を選ばせるほどの悲しみを抱えて欲しくはない。


もう見逃さない。

君の、心の闇。涙も。苦しみも。


失ってから後悔しても、遅いんだ。



「きゃあ……っ!」



病室に向かっていると聞こえて来た小さな悲鳴。


慌てて病室まで走った。


相沢……!?


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