叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。


嬉しくて固まってしまった。

まさかもらえるなんて思ってなかったから。



「ごめんなさい、趣味じゃなかったかしら……」


「……ち、違うんです!……嬉しくてっ……」


「なら良かった」



どこか母さんの面影がある叔母さんの笑顔が心に染みる。


……俺、母さんが死んだ時自分が世界で一番不幸なやつだって思ったんだ。


まるで世界の終わりのような。


母さんが死んだのに俺にはちゃんと"明日"が来た。


両親が居ない自分は、他の誰よりも劣っているような気がして。
自分の大切な一部が無いような、そんな感じがしていた。


……でも。


相沢に恋して、仁と出会って、

叔母さんに愛してもらってる俺はたくさんの優しさをもらった。


明日をちゃんと迎えて、大好きな君たちに会いたいって思えた。


ーー充分、幸せ者だ。



「……行って来ます」


「うんっ。行ってらっしゃい!」



叔母さんからもらったスニーカーを履いてたくさんの幸せを感じて俺は家を出た。


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