叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
凍えそうに寒い。
相沢とは11時に相沢の家に迎えに行くと約束している。
身震いをして灰色のダッフルコートに手を入れると、少しだけ急いだ。
「あっ、冬樹!!」
けれど家の前にはもう相沢の姿があった。
うおえ!?
「俺遅かった!?ごめんな!」
「違うよっ。私が早いだけだよっ」
鼻も頬も赤くなっている相沢。
「寒かったろ!?」
頬に指先を当てると案の定冷たかった。
「だっ……大丈夫だって!ほ、ほら行こうよっ」
俺の手を引くと勢いよく歩き出した相沢。
うわあっととと……!
引っ張られるように歩く。
「ふはっ!」
顔真っ赤だ。必死で可愛い。
引っ張られていた手を、握り返すように繋ぐと相沢が俺を一瞬だけ見た。