叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。



雨の音が激しくなった気がした。仁が妖しくニコッと笑う。



「冬樹って意外とレディに優しいよね」


「……そうか?」


「うん。その優しさを俺にもわけてくれたらな〜」



優しさのわけ…。


それは、母さんに俺は何も返すことができずに別れることになってからずっと後悔して来たからだった。


もしさっきの女の子に声をかけずに、明日を迎えて。

明日、もし彼女が死んだら?


そうなった時「昨日話しかけときゃ良かった」とか思いたくないんだよ。


優しくしとけば…

もっと、こうしてれば…


とか思いたくねーんだよ。

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