叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。


「お兄ちゃん?絵本は?」


「ごめん、明日買ってやるから……っ」



わかったと珍しく駄々をこねない夏沙に感謝しながら走った。


しばらく走っても相沢姿がどこにも見えず、スピードダウンしていって。
とうとう見つけられなかった。


……くっそ、どこ行ったんだよ。


今にも泣きそうな顔してたから。
独りになんかさせたくねぇーのに……。


どうしてこんな大事な時に見つけきれねぇーんだ!!


自分のここぞという時の頼りなさに、苛立ちを覚える。


独りで抱え込むな。

どこに居んだよ……相沢……


お願いだから、支えさせて。


相沢の心の中を見せて。


お願いだから。


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