SトロベリージャM
空間に響く上品な音量のバックミュージックは、玲の妖艶な姿と力強いタップ音のために流れているかのように思えた。


白いスーツにワインレッドのシャツを着た玲が、タップを踏むたびに、体が揺れるたびに、白馬のように見えた。


茶色い蹄が、大きく激しく、小さく優しく音を立てた。


体も音も動くのに、ただ静止しているのは、実野里を見つめる瞳だけだった。


演奏者が指揮者を見ているかのように。


~Side玲~


君を親友から奪いたくなるのは、なぜだろうか?


昔から、僕の親友が選択するものには、センスがあった。


身に付けるものにも、行動にも。


もし、他人が同じようにしても何の魅力も感じないのに、彼が主になるだけで、全てが魅力的に見えた。


信頼関係に甘えたせいか、羨ましさがimitationに変わった。


初めてだ、彼が人に固執するなんて。


物には同じものが存在するが、君はこの世で1人しかいないから、真似なんてできない。


だが、僕は信頼を壊すことができるのだろうか?


揺らぐ君の瞳の奥には、誰が映っているのだろうか?


< 111 / 225 >

この作品をシェア

pagetop