SトロベリージャM
大樹の下で、大地は実野里を抱きしめた。


そして、不器用ながらも優しく唇にキスをした。


「こんなことできるんだよ。みのりは、俺にこうされるとうれしいの?」


「うん、うれしいよ。みのり、だいち、大好き。温かくて気持ちいいね。」


(大人になって考えてみると、幼稚園児でこれはどうかと思うが・・)



そして、木陰に座って、一緒に苺を食べ始めた。


甘く酸っぱくて、美味しい苺だった。





「みのりは、この森の妖精みたいだね。」


そう言うと、また実野里を抱きしめてキスをしてきた。


実野里は、まだ小さい大地の背中に細い腕を回して、キスに答えた。



唇についたフレッシュな苺が、まるでジャムに変わったかのように甘く感じた。


これが、2人の初恋だった。







そして、恋を知った幸せな1年は、あっという間に過ぎていき、小学校に上がる前に、大地は都会へと引っ越して行った。
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