SトロベリージャM
~Side 実野里~


小学校、中学校、高校、大学、社会人へと成長したわたし。


男の子だって、男の人だって、男性だってたくさんいた。


だけど、毎日、枕元に飾った大地との写真を見る度に、あなたしかいないと
毎晩想ってしまう。



どこに行ってしまったのかも分からない。


この先、会えるかどうかも分からない。


全部分からないことばかりなのに、分かることが一つある。


それは、あなたしか見えない、あなたしか好きになれないということ。



今でも幸せだけど、心の隅にはもっともっと幸せだった思い出が残されているから、その甘さをもう一度味わいたくなる。


この世で、一番甘い蜜の中毒になった蝶のように。



わたしは、昔から歌うのが好き。


自然の中には、たくさんの音がある。


ひとつひとつの数えきれないくらいの音が、いつも合わさっている。


その音を聞いていると、いつの間にか、一緒に歌っているの。



塾に通い始めてから、子どもたちの影響もあって、ピアノを練習している。


初めは、決められた曲ばかりを弾いていた。


だけど、最近は、浮かんだ歌詞に自分で音をつける。


このフレーズは、どんな音をつけてもらいたがっているんだろう。


ひとつひとつ探っていくの。




わたしの一番好きな歌詞がある。

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