SトロベリージャM
「もう、我慢できそうにない。」


握る手に力がこもった。


「それに、今日は約束のご褒美の日だ。」


実野里は、目を見開いてダイを見た。


「ち・・ちがうよ。だって、‘いつか’っていうのは、もっと先の話ってことだよ・・。」


髪を梳くって遊ばせていた右手が、また頬っぺたに添えられた。


「俺の‘いつか’は、今日8月5日だ。」


実野里の目は更に見開かれ、目が飛び出そうなお化けのようだ。


「そ・・そんなの、勝手だよ!信じられない!」


起き上がろうとしたが、ダイの悲しそうな表情が目に入ったのでできなかった。


「わたし、まだ謝らなくちゃいけないことがある。森が潰されることを知ったとき、エデックに入社することを決めた。理由はね、社長の息子を利用して、この計画を止めさせるため。汚い手は使いたくなかった。だけど、そうするしか方法が見つからなくて・・。わたしは、森の妖精なんかじゃない。子どもの頃、大地が妖精って言ってくれたのに、今はもう・・、妖精なんかじゃ」


もう一度言い切ろうとしたとき、実野里の言葉は柔らかいものに塞がれた。



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