SトロベリージャM
その頃、実野里は夢の中だった。


目の前に、幼い大地と、大人のダイが並んでいた。


「ねぇ、みのり、この人だあれ?」


「この人は、わたしの・・。」


「俺は、実野里の彼氏だ。」


大地とダイは、お互いに見合っていた。


「みのりは、森の中の僕じゃなくて、この都会の人を選んだんだ。」


大地は、悲しそうな顔で実野里を見つめてきた。


「で・・でも、わたし、何年も大地のこと待ってたよ。だけど・・。」


「だけど、何?好きになっちゃったんでしょ?」


実野里は、大地の目を見るのが怖くなって、下を向いた。


「わかった。僕を消すか、この人を消して、一生僕を待ち続けるか決めてよ。」


実野里は、涙が溢れてきた。


「そんなの・・簡単に決められないよ・・。」


すると、ダイが頭を撫でてきた。


「実野里は、何も選択しなくていい。時が流れようが、居場所が変わろうが、実野里を想う俺の気持ちは、何1つ変わらない。」


実野里は顔を上げて、ダイを見た。


いつの間にか、大地は消えていた。


そして、ダイは実野里にキスをしていた。


思い出の大樹の下で。
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