SトロベリージャM
実野里は、一呼吸置いた。


(やっぱり、女神様だけには、隠せないな・・。)


母親のような存在の由梨さんには、全てを話すことに決めた。


「わたし、実は・・。」


暴露しようとしたその瞬間、4、5人の客がどっと押し寄せてきた。


「い・・いらっしゃいませ~。」


「あら、お客様がたくさん来たようね。じゃあ、わたしは行くわ。お大事にね。」


由梨さんは、クルっと表情を変えた女優のように、笑顔で去っていった。


(危なかった・・。ダイの秘密が明らかになったわけじゃないし、軽はずみに
言うのは良くないよね。もし、皆に伝えて、驚きで身体に影響が出ても大変だし、もう少し慎重に考えてからにしよう。)


お年寄りに、驚愕的な刺激は毒なのだ。


いつか、この刺激が自然の流れに乗って、少し緩和されるときが来るまで、実野里は待つことにした。


カップルや家族連れが、次々と変わったネーミングのジャムを買っていった。


練習で極めた菓子も少量販売してみたが、隅に置いていたにも関わらず、売れ行き上々で、昼過ぎには全て売れた。



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