SトロベリージャM
「父の希望通りに進んでいくうちに、俺は自然が怖くなった。好きなものを潰していく道に自分が進んでいるのだから。もう、何もかも忘れ、自然のことも嫌いになれば、俺は楽になれるんだと自分に言い聞かせ、洗脳してきた。だけど、実野里のことは、嫌いになれなかった。というか、ずっと想い続けることしかできなかった。会いたかった。だけど、変わってしまった俺を、実野里にだけは見せたくなかったんだ。だけど、目の前に実野里が現われてしまった。最愛の女を目の前にして、我慢できるほど俺は賢くない。」


わたしは、いつの間にかダイを抱きしめていた。


小刻みに震えているダイの上半身を、出来る限り包み込んだ。


だんだん、震えが治まってきたので、ふっと力を緩めた。


「あいつは、また同じことを繰り返そうとしている。また、欲しいものができたんだろう。そのために、この場所を利用しようとしている。近々、理由は分かってくるだろう。あいつの動きが、最近怪しい。」


「そ・・そんな!!計画は数年後って・・!?」


驚愕で身体が硬直した。


心の準備なんて、できているようで全く出来ていなかった。


危機が目の前に迫っていることが分かっても、立ち向かうための武器も勇気も不十分だと痛感した。
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