SトロベリージャM
次の日、実野里は塾へ行き、由梨さんに昨日あったことを話した。
2人が、子どもたちの解いた問題用紙を採点する机の上には、ジャムと紅茶があった。
ストレートの紅茶の中に、それぞれの好きなジャムが落とされ、スプーンとカップが当たる音がした。
休憩時間には、いつもこうやって2人で話す。
子どもたちのこと・・仕事のこと・・。
由梨さんは、両眉でハの字を作りながら、瞳を潤ませていた。
「寂しくなるわ・・実野里ちゃんが、塾に長い間来れなくなるなんて・・。」
(わたしも、眉毛がハの字になっているだろうな。)
そう思いながら、口を開いた。
「すみません。勝手に仕事を辞めるような形になってしまって・・。今回は先がどうなるか、全く見当がつかない未知の世界です。どう転ぶか分からない、運に任せて進むみたいなところもあります。わたしは、本当は都会に行きたくないです。自然の果てしない未知の世界の方が好きですから。都会が悪いというわけじゃありません。わたしだって、助けられていることがたくさんあります。だけど、限度を超えてきているよな気がするんです。自分の我がままだと分かっているんですけど、もう自分を止められないです。」
由梨さんは、子どもを慰めるときと同じ瞳を実野里に向けながら、頷いていた。
「分かったわ。子どもたちにも保護者の方にも、きちんと説明しておくから安心してね。みんな、実野里ちゃんを応援してくれるわ。」
「子どもたちに説明するの難しいですよね・・分かってくれるかな?」
急に、由梨さんは笑い出した。
「うふふ・・大丈夫よ。一言で理解するわ。」
(えっ・・一言で理解できるの?)
首を傾げる実野里に、先生は言った。
「実野里先生は、森を助ける妖精になったのよってね。ほら、これから忙しくなるんだから、準備しに帰らないとね。わたしが泣いてしまいそうなのもあるし。でも、休日に会えるからよかったわ。」
由梨さんに見送られて、実野里は車を走らせた。
(妖精か・・。ねぇ、大地どこにいるの?あなたがいたら、一緒に戦ってくれるよね?わたしの王子様・・。)
2人が、子どもたちの解いた問題用紙を採点する机の上には、ジャムと紅茶があった。
ストレートの紅茶の中に、それぞれの好きなジャムが落とされ、スプーンとカップが当たる音がした。
休憩時間には、いつもこうやって2人で話す。
子どもたちのこと・・仕事のこと・・。
由梨さんは、両眉でハの字を作りながら、瞳を潤ませていた。
「寂しくなるわ・・実野里ちゃんが、塾に長い間来れなくなるなんて・・。」
(わたしも、眉毛がハの字になっているだろうな。)
そう思いながら、口を開いた。
「すみません。勝手に仕事を辞めるような形になってしまって・・。今回は先がどうなるか、全く見当がつかない未知の世界です。どう転ぶか分からない、運に任せて進むみたいなところもあります。わたしは、本当は都会に行きたくないです。自然の果てしない未知の世界の方が好きですから。都会が悪いというわけじゃありません。わたしだって、助けられていることがたくさんあります。だけど、限度を超えてきているよな気がするんです。自分の我がままだと分かっているんですけど、もう自分を止められないです。」
由梨さんは、子どもを慰めるときと同じ瞳を実野里に向けながら、頷いていた。
「分かったわ。子どもたちにも保護者の方にも、きちんと説明しておくから安心してね。みんな、実野里ちゃんを応援してくれるわ。」
「子どもたちに説明するの難しいですよね・・分かってくれるかな?」
急に、由梨さんは笑い出した。
「うふふ・・大丈夫よ。一言で理解するわ。」
(えっ・・一言で理解できるの?)
首を傾げる実野里に、先生は言った。
「実野里先生は、森を助ける妖精になったのよってね。ほら、これから忙しくなるんだから、準備しに帰らないとね。わたしが泣いてしまいそうなのもあるし。でも、休日に会えるからよかったわ。」
由梨さんに見送られて、実野里は車を走らせた。
(妖精か・・。ねぇ、大地どこにいるの?あなたがいたら、一緒に戦ってくれるよね?わたしの王子様・・。)