SトロベリージャM
食欲も湧かず、料理にも力が入らず、実野里は痩せていった。


深夜にスーパーへ買い物に行っても、何が食べたいのか分からなくなったり、大地と食べたメニューを思い出す度に、涙が溢れたりした。


(わたしは、何のために生きているの?)


このフレーズが、頭の中をずっと駆け巡っていた。


ある日、部屋でいつも通り茫然としていると、母から久々にメールが届いた。


「実野里、元気にしてるの?販売は上手くいってるかしら?寂しくなったら電話してね。」


(電話したのは、いつだったかな?たぶん、埋め立て計画が発表される1カ月前くらいだったはず。)


実野里は、大学を卒業してから、親にすがることも卒業しようと決心した。


そのために、両親にお願いをしたことは、電話は全て実野里からかけること、家に帰ってくるのは、年に1度だけにしてもらうことだった。


それに、都会色に染まった両親を見たくないという意地もあった。


実野里からメールをしたのは、秋だった。


彼氏ができた季節。


埋め立てのことも、大地が帰ってきたことも秘密にして、ただ、好きな人ができたことだけを伝えた。
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