SトロベリージャM
実野里は携帯を握り締め、返信した。


「元気よ。お母さんが心配するようなことは、何もないわ。」


たわいもない短い文章だが、とてつもなく大きな嘘の塊だった。


何もしたくないという無気力感が、身体中を支配していった。


そして、鏡に映る自分の姿を見る度に、恐怖が沸き起こってきた。


前より頬がこけたのと、女性特有の膨らみを削いだようなボディラインに変わっったと感じたからだ。


なにより、ショックだったのが、大地が褒めてくれた瞳の輝きを失ったことだった。


数日前まで、実野里の瞳は、自然から滴り落ちた雫で覆われたように潤い、そして、真っすぐ前を向いた希望の光を纏っていたのに、今は見るも無残だった。


考えすぎかもしれないが、気持ちが病んだ実野里は、自分でそう思い込んでしまった。


実野里は、大地にメールを1度しかしなかった。


「出張、気を付けて行ってきてね。」


それから、心身ともに不安定な状態のまま、3週間が経った。
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