SトロベリージャM
実野里の待ち望んだ日がやってきた。


そのはずなのに、前みたいな気持ちの高ぶりもときめきも沸き起こらなかった。


特別なことをするわけでもなく、いつものように夜がきた。


ベットに寝そべっていると、19時頃に大地からのメールが届いた。


「空港に着いたから、今から向かう」と。


実野里は、手が震えて返事が打てなかった。


(ごめんね。大地の愛するわたしは、もういない。夢と同じように‘愛してた’の過去形になるわ。でも、大地の幸せを思うなら、その方がいいのよ。さぁ、いらっしゃい大地・・。)


~Side 実野里~


そう思いながらも、心の片隅では大地を期待している自分がいた。


会わないほうがいいのに、会いたいと思ってしまう。


わたしだけを愛して、抱きしめて・・。


そんな欲張りな自分に、嫌気がさしてくる。


完全に黒になれない自分が、歯がゆくて仕方がなかった。


わたしは1固体のはずなのに、心身がアシンメトリーになっているような感覚だった。


こんな姿を見たら、大地はどんな態度をとるだろうか?
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