SトロベリージャM
実野里(みのり)は、休日でも5時前には起きる。


たまに、小鳥が寝坊したり、雨でお休みだったりするときもあるので、鳩時計のハッピーに頼って、5時ぴったりに起きるときもあるが・・。


最初は、売り切れそうなジャムを作ることから始まる。


何日か寝かせたほうが、硬さも味も良くなるからだ。


それに、休日しか店を開けることができないこともある。



台所には、リスやうさぎ、猫などの飾りがついたマグネットで、貼り付けられたメモでいっぱいだ。


しかし、分量は書かれておらず、作り方の工程だけが手短にメモられているだけだ。


企業の足元にも及ばないジャム屋だが、一応企業秘密ということで、分量や裏技の方法はノートに書かれ、人目につかない台所の引き出しの中に隠されている。


親しい友人が遊びに来たり、近所のお年寄りとお茶しながら話をしたり、都会に移り住んだ両親がたまに帰ってくるぐらいなので、ここまで用心することはないけれど、「念には念を入れよ」だ。


物騒な世の中だ。


何が起きるかなんて、誰にも分からないのだから。



  
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