SトロベリージャM
息を切らしながら、やっとの思いで屋上に着いた。


フェンスを両手で掴んで、建物と空の境界線を見つめた。


視界は歪んでいた。


上の方は綺麗な水色に見えるのに、その下は灰色に濁って見えた。


(空は、どう思ってるの?見降ろしたら、前まで、緑と水と反射光の世界だったのに、いつの間にか、灰色と黒と電気の世界になっていること。ねぇ、仲間が減っていくのが、リアルタイムに見えてしまうなんて残酷だよね?)




すると、偶然にも、天気雨が降ってきた。


3月中旬でも、水に濡れると肌寒かった。


(お願い・・空の涙でわたしを浄化して・・。)


走ったときに乱れた、ポニーテールをほどいた。


長い黒髪が、雨と風に流れていった。


目を瞑り、上を向いて優しい雨にうたれていた。




「みのり・・みのり・・。」


(誰かがわたしを呼んでる。大地なの?あなたに会いたい。分かっているのは、同じ空の下にいることだけ。いつまで待ったら、帰って来てくれるの?ねぇ、教えて・・大地・・。)


「みのり・・みのり!!」


「!!」


背中に振動が走った。


またたく間に、背中が温かくなった。







< 54 / 225 >

この作品をシェア

pagetop