SトロベリージャM
貝殻観察にも砂いじりにも満足した実野里は、人間観察を始めた。


(おぉ~。みんな大胆なビキニ着てるな~。)


一瞬、自分変態疑惑が生まれたが、それどころではない事態を目にした。


どこの社長の子どもかは分からないが、波に浮き輪がさらわれて泳ぎにくそうにしていた。


(えっ!?溺れてる??)


怖くなった実野里は、海に向かって全速力で駆け出していた。


ダイは、遠くでサーフィンを楽しんでいたが、時折、実野里の行動にも気を配っていた。


急に駆けだしたお気に入りの人魚に、驚きと異変を感じた。


「玲、ちょっくら行ってくるわ。」


「あぁ、ダイはあの子にお熱だね。」


クスッと笑いながら、軽く手を振った。


実野里は、子どもが溺れている近くまで必死に走ってきた。


足に波が触った。


海に入ったのは、何年ぶりだろうか。


大地と一緒に遊んだ記憶しかなかった。


しかし、怖いという感情は、実野里の頭の中には微塵もなかった。


気付いたら、勝手に足が動いていた。


今日の海は穏やかなはずなのに、その子の周囲だけが、悪魔に取り付かれているかのように凶暴に見えた。


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