SトロベリージャM
足首、膝、太股、腰、胸、首と順番に冷たくなっていった。


浮いてはいるが、自分が泳げているのかどうかよく分からなかった。


確信を持てたことは、自分が溺れていないということだった。


手を伸ばしても、まだ届かない。


子どもは、海水が口元まできて苦しそうだ。


近くで見ると、ショートカットの女の子に見えるが、性別はよく分からなかった。


「大丈夫!?お姉ちゃんが、今助けてあげるから待っててね。」


(あと、もう少し・・。)


実野里は、その子を抱き締めた。


そのまま、浮き輪の方へと近づいた。


「はい、これがあったら泳げるよね?」


その子は瞳を潤ませながら、上目遣いで言った。


「ごめんね。僕、お姉ちゃんに目を付けてたんだ。だから、お姉ちゃんがいた場所から一直線上の位置で溺れてみたの。」


「えっ!?どうこと?」


穏やかに戻った海とは対照的に、実野里だけがテンパっていた。


そして、黒髪昆布だけが、気持ち良さそうにゆったり海を漂っていた。


「本当は、僕、イルカみたいに泳ぐのが得意なんだ。でも、お姉ちゃんと話がしたくて・・。こんな悪いことしてごめんなさい。」


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