SトロベリージャM
更衣室に着き、辺りを見渡すと、案の定、誰もいなかった。


実野里は、今更ながらに重大なことに気付いた。


「ねぇ、ダイ、このタオル、自分でのけれないんだけど・・。」


ダイはそっと、実野里を床に下ろして、耳元で囁いた。


「俺が着替えさせてやるから。安心しろ。」


ダイの端正な顔が、近付いてきた。


(キ・・キス・・される!?口は、だ・・駄目~!)


渾身の力を込めて、手巻き寿司は横にごろんと転がった。


ダイと実野里の間に、沈黙という音無き音楽が流れた。


「お前さ・・今、俺を振ったのか?」


「い・・いやぁ・・そ・・そんなつもりは・・。」


「振ったよな?」


怒りを通り越したのか、ダイの眼差しは、捨て犬のような哀愁漂うものだった。


(ど・・どうしよ。でも、わたしだって、ダイに捨てられたらきっと悲しくなるだろうな・・。)


そう考えると、いつの間にか、反対側に向けた身体をダイの方に戻していた。
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