嘘付きな使用人
「まあそう落ち込まないで。
良い物あげるから元気出してよ。」

「…良い物ー?」

「うん。
さっき新聞屋の方が来られてね、清水さんは出掛けてるって言ったら君に渡してくれって。」

翔がお弁当箱を取り出し清水に渡す。

「…変な事聞いてないでしょうねー?」

「流石にそんな空気読めない事はしないよ。」

清水は疑わしげに見つつもお弁当を開いた。

「ああ、そう言えば友達と出掛けてるって話したら大喜びしてたよ。
彩に友達が作れたのか!!って。」

「相変わらず失礼だよねー。」

卵焼きを口に含む。
ほんのり甘い。
大好きだった味。

「…そんなに美味しいの?」

「?」

翔がニコニコしながら清水を見る。

「いや、清水さん本当に美味しそうに食べるからさ。」

「いりますかー?」

清水が卵焼きを差し出すが翔はそれを止めた。

「新聞屋の方は清水さんに食べて欲しいんだから。
僕は貰えないよ。」

「…そんな気にしなくて良いと思うんすけどね~。」

モグモグと唐揚げを頬張る。

「多分仕事中なのにハアハア汗かきながら届けにこられたからさ。
流石に貰えないよ。
そんな大切なお弁当。」

「意外とそう言う事考えるタイプだったんすね~。」

「意外って失礼だなー。」




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