神龍と風の舞姫
そんな自分のおめがねにかなった海斗だから、たとえ世間で恐れられ、忌み嫌われていようとも気にしない

海斗は確かに桁外れの強さを持っているし、いつ暴走するかわからない、暴走したら大被害を出すほどの力を宿しているけれど、自分に忠誠を誓った今、その力に恐れをなすことはない

(逆にあれだけ味方につけて心強い奴はいないわー)

海斗の姿が見えなくなってから3か月、寝食を行ってきた宿の扉を開け、窓際に置いてある机の上に食料の入った袋を置く

そのまま一階の食堂に下りて、空いてる席に今日の新聞を持って座る

旅では情報は命に関わる

最新の情報を手に入れておかなければ自分の身は守れない

(せめて自分のみくらい満足に守れるようにならないとねー)

いつまでも海斗の背に隠れているわけにはいかない

特に最近はないかと世間が騒がしい

国がいくつも倒れ、新しい国が建ち、領土争いが絶えない

それに…

「…また、失踪事件か…」

それに、最近さまざまなところで性別年齢問わず行方不明者が続出している

捜索は世界中に広まっているが、行方不明者の安否すらまともにわかっていない

誘拐なのか、ただの家でなのかもはっきりとは分からない

すべての事件が関連している保証もない

(んー、そういえば、この町に来る前に海斗が言ってたな…)


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